3人は急停止し、息を呑んで人影を確認した。
誰だかわからないが何人かが集まっているようだ。
C『アイツじゃない・・・』
そう確認できた途端に再び走り出し、
その人間達の中に飛び込んだ。
?『おい!出てきたぞ!』
?『まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?』
?『おーい!急いで奥さんに知らせろ!』
集まっていた人達はざわざわとした様子で、
3人に駆け寄って来て、声を掛けた。
だが、3人とも頭が真っ白で放心状態であったため、
何と話し掛けられているのか、
すぐには理解できなかった。
少し落ち着いたところで、3人は車に乗せられた。
この時、すでに時刻は夜中の3時を回っていた。
3人を乗せた車が向かった先は、
村の行事等の機会に使用される集会所だった。
大人に促され、集会所内に入ると、
Aの母親と姉、Bの父親、Cの母親がそこには居た。
A・Cの母親は号泣しており、
Bの父親も普段は見せないような表情で息子を見つめていた。
Cの母親『みんな無事だったんだ!よかった!』
Aは無言で母親に殴られ、
Bもまた父親から同様の叱りを受けた。
と同時に、両名は息子達に、
とても暖かい言葉を掛けた。
しばらく経つと、Cの母親が話し始めた。
Cの母親『みなさん、ごめんなさい・・・』
Cの母親『今回の事はうちの主人、延いては私の責任です。』
Cの母親『本当に申し訳ありませんでした!本当に・・・』
と何度も何度もそれぞれの家族に対して、
深々と頭を下げ、陳謝した。
Bの父親『もういいだろう奥さん。こうしてみんな無事だったんだから。』
Aの母親『そうよ。あなたのせいじゃないわ。』
その後、親達が相談している間、
3人は大人しく座って待っていた。
やがて、親達の相談は終わり、
それぞれの自宅へと帰って行った。
翌日の昼頃、Aは姉に叩き起こされた。
寝ぼけ眼でもはっきりと分かる程、
姉の表情は強ばっている。
A『なんだよ?姉貴』
Aの姉『Cのお母さんから電話。ヤバい事になってるよ。』
受話器を受け取り電話を代わると、
Cの母親は凄い剣幕で叫んできた。
Cの母親『Cが・・・Cがおかしいのよ!』
Cの母親『昨夜あそこで何したの!?』
Cの母親『柵の先へ行っただけじゃなかったの!?』
とても会話になるような雰囲気ではなく、
一旦、電話を切り、AはCの自宅へと急いだ。
到着すると、
同様の電話を受けたBも来ていた。
Cの母親の話によると、
Cは昨夜自宅に帰ってから、
急に両手両足が痛いと叫び出した。
両手両足をピン!っと伸ばした状態で倒れ、
その体勢で『痛い!痛い!』と、
のたうち回ったのだそうだ。
母親が『どう痛いのか?』と問い掛けるも、
ただただ『痛い!痛い!』と叫ぶばかりで、
埒が明かなかったとのこと。
何とかCの部屋までは運んだのだが、
ずっとその状態が続いており、
残りの2人はどういう状態になっているのか確認したかったため、
電話を掛けたのだと言う。
話を聞いた2人はすぐさまCの部屋へと向かった。
階段を登っている時点で既に、
Cの叫び声が聞こえた。
『痛ぇ!痛ぇよぉ!』
と繰り返している。
部屋に入ると、母親の言う通り、
Cは手足をピン!っと伸ばした状態で、
のたうち回っていた。
A『おい!どうした!?』
B『しっかりしろ!どうしたんだよ!?』
2人が散々呼び掛けても、
ただただ叫ぶだけで目線さえも合わせない。
A『どうなってんだ・・・』
一体全体、何がどうなっているのか、
さっぱりわからなかった。
しばらく、茫然とCの様子を眺めていると、
Cの母親が下りてくるように言った。
A『と、取り敢えず、一旦おばちゃんのとこに行くか?』
B『ああ・・・』
一階へ下りて行くと、
先程とは打って変わって、
Cの母親は静かな口調で昨夜のことを聞いてきた。
Cの母親『あなた達、昨夜あそこで何をしたのか話してちょうだい。』
Cの母親『それで全部わかるの。昨夜あそこで何をしたの?』
2人は彼女が何を聞きたがっているのか、
勿論わかっていた。
しかし、昨夜のことを説明するに当たっては、
あの恐怖体験の記憶を呼び起こさなくてはならない。
2人にとってはそれが苦痛で仕方なかった。
が、話さないわけにはいかなかった。
彼らにはその義務がある。
説明しているうちに、
だんだんと彼女の真意が見えてきた。
「何を見たか」でなく「何をしたのか」
これを聞きたがっているようだった。
あーでもないこーでもないと、
順を追って話しているうちに、
2人はあることに気付いた。
「AとBがやっていなくて、Cだけがやったこと」
それはたった一つだけだった。
あの楊枝のような物だ。
Cはあれに触れ、且つ元あった配列を崩したのだ。
それをCの母親に伝えた。
すると、彼女の表情はみるみる変わり、震えだした。
そして、すぐさま棚の引き出しから何かの紙を取り出し、
それを見ながら、どこかに電話を掛ける。
その様子を2人はただ呆然と見つめている。
電話を切ると、震える声で2人に言った。
Cの母親『あちらに伺う形なら、すぐにお会いしてくださるそうだから、今すぐ帰って用意しておいてちょうだい。』
Cの母親『あなた達のご両親には私から話しておくわ。』
Cの母親『何も説明しなくても準備してくれると思うから。』
Cの母親『明後日またうちに来てちょうだい。』
2人にとっては意味不明だった。
この時にはまだ・・・
「誰に会いにどこへ行く」のか尋ねても、
彼女は、はぐらかすだけで、
すぐに帰宅するよう、促すばかりだった。
Aが帰宅すると母親は開口一番、
『必ず行ってきなさい!』と強く言った。
続く

