A『Cのオヤジが言ってたの、たぶんこれの事だろ?』
B『暴れるとか無理。明らかにヤバいだろ。これ・・・』
だが、Cは強気な姿勢を崩さなかった。
C『別に悪いもんとは限らねえだろ。』
C『とりあえずあの箱見て見ようぜ!宝でも入ってっかもな!』
Cは縄をくぐり、六角形の中に入り、
賽銭箱のような物に近づいて行った。
AとBは不安ながらも、Cの後に続いた。
野晒しで風雨に晒されたためか、
箱はひどく錆び付いていた。
上部は蓋になっており、網目で中が覗けるのだが、
蓋の下にはさらに板が敷かれており、
中がどうなっているのかまでは確認できない。
さらに箱にはチョークのような白い物で、
家紋と思しき、図が描かれてあった。
前後左右にも、それぞれの面に家紋のようなものが描かれていたが、
一つとして同じ図はなかった。
AとBは極力触らないようにしていたが、
Cは臆することなくペタペタと箱を触って、
色々と調べていた。
どうやら地面に底を直接固定してあるらしく、
持ち上げようにも、全く持ち上がらなかった。
中身を確認しようと、隅々まで調べていると、
後ろの面だけが外れる仕様になっていることを、
Cは発見した。
C『おっ、ここだけ外れるぞ!中見れるぜ!』
Cが箱の一面を取り外すと、3人は中を覗き込んだ。
箱の中には四隅にペットボトルのような形の壺が置かれており、
その中には液体が入っているのが確認できた。
加えて箱の中央には、
先端が赤く塗られた5cm程の楊枝のような物が6本、
異様な配列で置かれている。
配列は以下のような状態である。
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接する5ヶ所だけが赤く塗られている。
A『なんだこれ?爪楊枝か?』」
B『おい、ペットボトルみてえなのの中に何か入ってるぜ。なんだか気持ちわりいな。』
C『ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえ。』
AとBは壺を少し触った程度であったが、
Cはそれを手に取って、
匂いを嗅いだりしている。
壺を元の位置に戻すと、
今度は楊枝を触ろうと手を伸ばす。
そして、配列を崩してしまった。
と同時に、
チリンチリリン!!チリンチリン!!
3人が来た方とは反対側、
つまり六角形地点のさらに奧に薄っすらと見えている柵に掛かっている鈴が、
物凄い勢いで鳴った。
これには3人とも驚いて、
『うわっ!』と叫び声を上げ、
一斉に顔を見合わせた。
C『誰だチクショウ!驚かせやがって!』
Cは鈴の鳴る方へ走り出した!
A『そっち行くな!戻れ!』
B『おいC!ヤバいって!』
2人が慌てて後を追おうとすると、
Cは突然立ち止まり、
前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった・・・
A『C、どうした?なんかあったか?』
急いで駆け寄ると、Cの体は小刻みに震えていた。
2人はCの懐中電灯が照らす先を見た。
光は立ち並ぶ木々の中の1本、
その根元の辺りを照らしていた。
その陰から、女の顔がこちらを覗いている!
顔面真っ白で生気が全く感じられない、
無表情な女の顔だった。
ひょこっと顔半分だけを出して、
眩しがる様子もなく、3人をじっと見ている。
上下の歯を剥き出し、
「にいぃ」っと口を開け、
目は据わっていた。
3人『うわぁぁぁぁぁ!!』
悲鳴と同時に、一斉に振り返り、
勢いよく走り出した。
A『何だよあれ!?何なんだよ!?』
C『知るかよ!黙って走れ!!』
脇目も振らず、ただただ必死で来た道を戻った。
お互いを気遣う余裕など全くない。
柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじ登る。
上まで来たら、今度は一気に飛び降り、
すぐに森の入口へ戻ろうとした。
だが、混乱しているBは上手く柵を上れず、
柵の内側でもたついている。
A『B!早くこっち来い!!』
C『何やってんだ!早くしろ!!』
その時!
チリンチリリン!!チリンチリン!!
凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れ始めた!
と同時に、何かが物凄い勢いで近づいてくる気配を感じる!
まさに今、自分達が逃げてきた方向から・・・来る!
A『ヤバい!ヤバい!!』
C『まだかよ、B!早くしろ!!』
2人の言葉で、さらにBは混乱してしまっていたが、
急かさないわけにはいかない。
Bは無我夢中で柵をよじ登った。
Bがようやく登り切ろうかというその時、
AとCの視線はそこになかった。
今まで感じたこともない恐怖感でガタガタと体が震え、
全身からサーっと汗が噴き出し、
声を出せなくなった。
2人の様子に気付いたBは、
柵の上から彼らが見ている方向に視線をやった。
山への方角にずらっと続く柵を伝った先、
しかも、こちら側にアイツが張り付いて、
ジーっと見つめている!
顔だけかと思ったそれは、
裸で上半身のみ、
右腕左腕が3本ずつあった。
6本の腕を巧みに操り、
綱と有刺鉄線を掴んで、
「にいぃ」と口を開けたまま、
巣を渡る蜘蛛のように3人の方へ向かって来ていた!
3人『うわぁぁぁぁ!!』
Bは咄嗟に柵の上から飛び降りたせいで、
着地に失敗し、地面に叩きつけられた。
2人はすぐさまBを起こし、
一気に森の入口に向かって走った。
振り向くことなどできない。
前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば30分も要さないはず、
しかし、状況が状況なだけに、
3人は何時間も走ったような錯覚を覚えた。
ようやく入口が見えてくると同時に、
何やら人影が見えた。
C『おい、まさか・・・』
続く

