話は戻る。
Cは親子喧嘩の後、家を飛び出し、
不良仲間のA・Bと落ち合った。
B『父親がそこまで言うなんて相当だな。』
A『噂じゃ、あの場所、カルト教団のアジトだっけ。捕まって洗脳されちまえって事かね。』
A『怖いっちゃ怖いが・・・どうすんだ?行くのか?』
C『行くに決まってんだろ!どうせオヤジのハッタリだ!』
面白半分でA・Bが『ついて行く!』と言い出し、
結局、3人で立入禁止区域へと向かうことになった。
あれこれと道具を用意して、
出発する頃には、夜中の1時を過ぎていた。
意気揚揚と森の入口に到着し、
懐中電灯で前を照らしながら、奥へと進んで行く。
道自体は軽装でも進んで行けるような道ではあるのだが、
例の地点へは40分程、歩かなければならない。
森に入ってから5分と経たないうちに、
奇妙なことは起こった。
遠くの方から音が聞こえてくる。
夜の静けさがやたらとその音を際立たせた。
最初に気付いたのはCだった。
C『おい、何か聞こえねぇか?』
Cの言葉で耳を澄ませてみると、確かに聞こえる。
落ち葉を引き摺るカサカサ・・・という音と、
枝がパキッ・・パキッ・・と折れる音。
それが遠くの方から微かにだが、聞こえてくる。
A『動物かなんかじゃねぇの?』
B『かもな。』
C『行こうぜ。』
3人は気にも留めず、再び歩き出した。
20分程、歩き続けていると、
Cがまた何かに気付いた。
C『B、お前だけちょっと歩いてみてくれ。』
B『?・・・何でだよ?』
C『いいから早く!』
Bが不思議そうに一人で前進して、
再び2人のもとへ戻ってくる。
それを見て、Cは考え込むような表情になった。
B『おい、何なんだよ?』
A『説明しろよ!』
2人がそう言うと、
C『静かにしてよーく聞いててみろ』
と言ってCは、
Bに指示したように一人で前進して、
再び2人のもとへ戻って来た。
Cが2・3回これを繰り返した時、
残りの2人はようやく気付いた。
遠くから微かに聞こえてきている音は、
3人の動きに合わせているということに。
3人が歩き出すと、その音も歩き出し、
3人が立ち止まると音も止まる。
まるで3人の動きを把握しているようであった。
これに気付いた2人はゾクッとした。
周囲に彼らが持つ懐中電灯以外の光はない。
月は出ているが、木々に遮られほとんど意味はなかった。
尾行している存在がいると仮定して、
3人は懐中電灯を持っているのだから、
尾行者が3人の位置を把握するのは容易いことだ。
だが、懐中電灯の明かりだけでは、
互いの姿を確認するのに目を凝らさなければならない程、
辺りは真っ暗な闇だった。
そんな暗闇の中で明かりも持たずに、
「それ」は何をしているのか甚だ疑問であった。
C『ふざけんなよ!誰かオレ達をつけてやがんのか!?』
B『近づかれてる気配はないよな・・・』
B『向こうはさっきからずっと同じぐらいの距離保ってるし・・・』
Bの言う通り、森に入ってからここまでの20分程、
音の発信源と3人の距離間は一向に変わっていなかった。
近づいて来るわけでも遠ざかるわけでもない。
終始、同じ距離を保ったままだった。
A『オレ達、監視されてんのかな?』
B『そんな感じだよな』
B『カルト教団とかなら、何か変な装置とか持ってそうだしよ』
音から察するに、
複数ではなく一人が、
ずっと3人にくっついているような感じだった。
3人はしばらく足を止めて考え、
下手に正体を探ろうとするのは危険と判断し、
一応辺りを警戒しつつ、
そのまま先へ進むことにした。
続く

