10月25日
G君『う~ん・・・』
話しを聞き終わって、思わず唸ってしまった。
G君『まあ、でも、その後はなんともないんでしょ?』
そう口を開くと、J君が首を横に振った。
J君『それだけじゃないんだって。』
J君『それから、もう4回・・・同じことがあって・・・もう、5人死んでるって・・・』
G君『でも、それだったら、変質者か悪質なイタズラじゃないの?』
G君『僕に相談するより、警察に相談した方がいいんじゃない?』
G君『へたしたら、殺人犯の可能性だってあるし・・・』
G君とJ君が話すのを黙って聞いていたYさんが、急に割って入った。
Yさん『違うの!』
Yさん『だって、みんな、死に方が違うの。』
Yさん『調べてみたけど、心臓麻痺の人や、交通事故の人、病気の人。』
Yさん『殺されたとかじゃないし、みんな住んでるところがバラバラなの。』
G君は途方に暮れてしまった。
今まで、そんな例は見たことも聞いたこともない。
J君『それに、ゆっくりもしてられないんだ・・・』
J君はそういうと、Yさんに目配せした。
Yさんは少しためらうと、バックから何かを取り出した。
・・・!
それを見た瞬間、背中にひやっとした感覚が走った。
いつもの嫌な感覚だ。
今まですぐ近くに置いてあるバックに入ってたのに、
何故気が付かなかったのか、という程の嫌な感覚・・・
それは、縁を黒く塗られたハガキだった。
『10月26日 2時00分 死亡』
G君『まさか・・・』
Yさんは頷いて、ハガキの宛名面を震えた手で差し出してきた。
『K○ Y子 様』
宛名には、Yさんの氏名が書かれてある。
Yさん『このハガキだけは、消えないの・・・』
Yさん『他のはみんな、どこかに行っちゃうのに、このハガキだけはずっとあるの・・・』
Yさんは震える声でそう言った。
G君『それ、いつ来たの!?』
ハガキの嫌な感覚に、思わず声を荒げてしまった。
Yさん『おとといの、夜・・・』
G君『なんで、もっと早く相談しなかったの!?』
G君『こいつは、本物だよ!!』
Yさん『K!、K!、ちょ、声が大きい』
彼の声は周りがこちらに注目してしまう程、大きかった。
G君は中年男みたいに、机にあったお手拭き用タオルで額を拭って、
自分自身を落ち着かせた。
深呼吸をして一呼吸置くと、どうすべきかを考え始めた。
G君には前述したように、除霊や浄霊をするといった類の力はない。
ただ「そういうことがわかる」というだけだ。
警察に通報しても、まともに取り合ってもらえる内容でもないし、
警察ですらどうこうできる問題でもなかった。
しかし話しの流れからすると、このまま手をこまねいていては、
Yさんは翌未明深夜2時にを迎えると、なにかしらの理由で死んでしまう。
G君『ちょっと、待ってて!』
G君は二人に向かってそう発すると、喫茶店から一旦外に出た。
彼は一人だけ、こんな時に頼りになる人物を知っていた。
携帯電話を取り出すと、祖父に電話し、これまでの経緯を話した。
G君『・・・というわけなんだ、どうしよう、爺ちゃん!』
祖父『ふ~む。そりゃ、いかんわなぁ・・・』
爺ちゃんは、しばらく何か考えるように沈黙した後、
祖父『あれじゃ。以前に大畔(おおぐろ)の坊主に書いてもらったお札があるじゃろ。』
祖父『あれをポストとドアのノブ、部屋の窓という窓に貼るんじゃ。』
祖父『たぶん、そいつは招かれ神の類じゃ。』
祖父『中から招かんかぎり、悪さはできんはずじゃ』
G君『夜中、部屋に戻らないようにしてもダメ?』
祖父『だめじゃな。外じゃ、余計にいかん。』
祖父『四角く封ずる門がないぶん、連れていかれ放題じゃ』
G君は電話を切るとすぐさま喫茶店に再度入店した。
二人に先にYさんの部屋に行くよう指示すると、自宅へ例のお札を取りに戻った。
大畔の坊主というのは、「かんひも」の時にG君とK君を祓ってくれたお坊さんだ。
普段は酒飲みで肉を食べるし、離婚歴もあるという生臭さ坊主ではあったが、
こと除霊や浄霊に関しては、優秀な人物であった。
G君が変なモノを見るようになってからというもの、
彼には魔除けのお札を書いて送って貰っていた。
自宅に到着し、お札をポケットにしまうと、先程告げられたYさんのアパートへ向った。
時刻は夜の8時を回っている。
彼女の部屋に入室すると、青ざめた表情の二人が待っていた。
G君は祖父に教えられた通り、部屋中の窓という窓、玄関のドアノブにお札を貼った。
そして気が休まらないまま、三人で時間を待った。
緊張していたせいか、時間が経つのがあっという間だった。
時計の針が午前1時55分を指す。
・・・・!
続く

