これは、とある男性が中学生の頃に体験した不思議な話である。
夏休みも終わりに近づいた頃、白い服を着た小さな女の子が彼の自宅に頻繁に現れるようになったという。
それも、昼夜問わず彼が一人の時にばかり。
恐くなった彼は母親にその女の子のことを話したが、まったく相手にしてもらえなかった。
その後も多いときは一週間に何度も現れるようになり、恐怖で心身ともに限界になった彼はもう一度母親に泣きついて相談した。
すると、母親は重い口を開いてこう言った。
母親『●●(彼の名前)には4歳年下の妹が生まれてくるはずだったんだけど、その子は流産だったの。』
母親『多分その小さな女の子というのは、●●の妹になるはずだった子だと思うよ。』
母親『わざわざ会いに来てくれているんだから、怖がらないであげてね。』
それを聞いた中学生の頃の彼は、「生まれてくる事が出来なかった妹が自分の所に遊びに来てくれているのだ」と納得できて、何だか嬉しく思えた。
それからはその白い服の女の子が現れても特に恐いと思うこともなくなり、
「気が済むまで遊んで行きなよ」なんて思うようにまでなった。
しかし日が経つに連れ、次第に彼の前に現れる回数が減っていき、とうとう現れなくなってしまった。
寂しいという気持ちはあったが、
「ああ、気が済んで成仏したんだろうな。」なんて思って安心していた。
それから数年が経ち、彼は学校を卒業して社会人になり、実家を離れて暮らしていた
。
久々に年末年始を実家で過ごそうと思い、里帰りした時のこと。
母親と会話していると、ふと中学時代によく自分の身の回りに現れていた白い服の女の子のことを思い出した。
その女の子のことを話題に出すと、
母親『なにそれ?・・・アッハハハハ!やだあんた、本気にしてたの?!』
と大笑いしながら、話す母親。
聞けば何でも、当時の彼はあまりに怯えていて心配だったので、安心させるために口から出任せを言っていたそうだ。
では、あのとき頻繁に部屋に現れていた白い服の女の子とは、一体何者だったのだろうか・・・