聞こえていた者と聞こえていなかった者

心霊話

これは、とある女性J氏が高校生の時の学園祭で体験した不可解な話である。

 

 

その日は、学園祭で他校の生徒にも学校が開放されており、

自称「霊感がある」という他校の女子生徒が彼女の学校に来訪していた。

 

彼女の学校では過去に実際、

霊媒師を呼んで何度もお祓いをしてもらった部室があった。

 

その部室で、「自称霊感有り」という女子生徒を交えて、

降霊会を取り行うことになった。

 

実際に降霊会に参加したのは、

J氏の親友と「自称霊感有り」の女子生徒、他数名だった。

 

J氏は元々、そういった類の遊びが苦手で参加することはしなかったが、

親友のことが心配だったので、その場に立ち会うことにした。

 

降霊会が中盤に差し掛かった頃、

参加者の女子生徒に異変が起きた。

 

彼女の声が男の声に変り、

 

 

『お前ら全員、呪ってやる!!』

 

 

 

と叫び出したものだから、

部室内はパニックに陥った。

 

他校からやって来た「自称霊感有り」の女子生徒は、

泣き出すばかりで全く役に立たなかった。

 

実はJ氏の親友というは代々憑きモノ落としの家系で、

彼女が産まれた時に白蛇が出てきただの、

色々と曰く付きな身の上であった。

だが、親しくない人間には一切そういった身の上話はしなかったのだという。

 

J氏の親友は誰ともなく、その場に居合わせた人間に向けて、

「蝋燭と半紙と筆ペン」を購入して来るよう指示を出した。

 

それらを使って彼女は即席でお札を作り、

簡単な除霊の儀式を行い、

何とかその場を治めた。

 

除霊が終わった時、

降霊会に参加していた霊感が全くないという生徒の一人が、

何色ともいえない眩しい光が部室から出て行くのを目撃したという。

 

 

 

だが、この話はここで終わりではない。

 

 

時を同じくして、

体育館で催し物をしていた別の友人はこう語った。

 

彼女の親友が除霊を終えた頃、

体育館のスピーカーから変な声が聞こえ始めた。

 

初めは小さな音だったので、

「ただのノイズかな~」と気にしなかったのだが、

そのノイズは次第に大きくなっていき、

辺りの話し声や雑音が全く聞こえなくなる程になったという。

 

ノイズの音量が最大ボリュームになった時、

幼稚園児ぐらいの幼い子供の声で、

 

 

「お地蔵さんの首が落ちる」

 

 

 と聞こえたのだというのだ。

 

 

あの声は何だったのか確認しようということになり、

放送室へ向かった。

 

 

ガラス貼りの放送室を覗くと、

放送部の部員が泣き喚いているのが見えた。

 

放送部員をなだめながら、

先程の声を突き止めようと、

あの時流していたテープを何度も聞き返したが、

そんな声はどこにも入っていなかった・・・

 

 

 

後日もう一点、奇妙なことが明らかになった。

あれ程の大きな音量であったのにも関わらず、

「あれ」が聞こえていた人間と、

全く聞こえていなかった人間に分かれたということだ。

 

 

 

降霊会で一人の女子生徒に憑りついたモノと、

ノイズに混じって聞こえてきた幼い子供の声。

両者に何か関連性はあるのだろうか・・・

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