それを最初見たのは、
彼が小学校6年生の時だった。
彼には弟が1人いる。
彼の部屋というのは、
その弟の部屋を通らなければ、辿り着けない構造になっている。
弟の部屋から、彼の部屋を「誰か」が覗いている。
見た目は5~6歳の女の子で、
Tシャツにスカートを履いている。
最初の2~3年はその女の子しか見えなかった。
しかし、次第に見る機会も減ってゆき、
彼女のことを忘れてしまっていた。
だが、ある日突然、また現れるようになった。
しかも今度は男の子も加わっている。
やはり、男の子も見た目が5~6歳。
二人して彼の部屋を覗いて、
にたにたと笑っている。
そして、ついに二人が弟の部屋を抜け出して、
彼の部屋に入って来た。
徹夜で勉強をしていると、ふと背後に気配を感じ、
振り向くと、そこにはあの男の子と女の子が立っている。
『クスクス・・・。』と笑いながら・・・
だが、呪うだとか憑りつくだとか、
そういう類の害はないようだ。
ただただ、彼のほうを見ながらクスクスと笑っている。
しかし、二人が消え去った後、
キレイにたたんであった布団がぐしゃぐしゃになっていた。
それから彼が寝るまでずっと悪戯をしてきたのだという。
この子達は、ただ単に遊びたかっただけなのであろうか・・・
あるいは座敷童の類なのであろうか・・・