K氏は度々、
金縛りや怪奇現象に遭遇していた。
ある日の晩、
K氏がベッドに入り、
就寝前の読書をしていた時のことだ。
突然身体が得体のしれない強力な力で引っ張られ、
ベッドから引き摺り降ろされ、
そのままドアの近くまで引き寄せられた!
怯えながらも足元を見ると、
ドアから異様に長い腕が生えている。
そして、それがK氏の足首をしっかり握っていた。
「これはマズイ!」と思った彼女は、
知る限りのお経を唱え、
他界した曾祖母に助けを求めた。
それでも尚、足を掴まれている感覚は無くならず、
じりじりと引っ張られ、
足の裏がドアに着いたところで気絶してしまった。
しばらくして、意識を取り戻すと、
そこに例の長い腕は見当たらなかった。
まだ夜が明けていなかったため、
K氏は寝直しすることにした。
うつら・・・うつら・・・し始めた時だった。
『ぎゃああぁぁーーーー!!』
隣の妹の部屋から、
家中に響き渡る物凄い絶叫が聞こえてきた!
「もしや、さっきの腕が妹の部屋にも・・・?」
という考えが頭をよぎり、
布団の中で軽い混乱状態に陥ってしまった。
程なくして、父親が妹の部屋に入ったのが分かった。
父親『どうしたんだ!?』
すかさず、父親はK氏を呼び寄せた。
K氏が部屋に入ると、
妹はベッドの上で泣いていた。
よくよく見ると、
妹の右足が3倍くらいに腫れ上がっている!
すぐに救急車で病院に搬送され、
下された診断は複雑骨折。
妹はベッドの上で寝た状態で、
足の骨が砕けていたのだ・・・
病室で妹は、
『女の人が物凄い力で足を掴んだ』
と、父親に言った。
その話を聞いてハッとしたK氏は、
自分の足を見た・・・
彼女の両足首には手形は付いていなかったものの、
10cm幅程の水疱が出来ていた。
そして、それは妹の足にも同様に。
妹は3ヶ月後、退院することになった。
だが、ここから異変が起き始める。
高校1年生の妹は、
度々、自宅や学校で問題を起こすようになる。
何かに怯え、
自傷行為を繰り返すようになったのだ。
困り果てた両親は、
メンタルクリニック等に通院させることにしたが、
状況は好転せず、
むしろ、悪化するばかりであった。
また、時期を同じくして、
K氏自宅の近隣では火事が頻発するようになった。
ドアから長い腕が現れた日が5月22日。
最初の火事が6月22日、
続いて8月22日、10月、12月、2月と・・・
出火原因は様々であったが、
地図上で確認すると、
三角形を描くように火事が起きている。
ある一軒の家を取り囲むようにして・・・
さすがに3件目の火事から、
近隣住民の間では、
『これはただの偶然ではない!』と囁かれ始め、
2月の火事の後、
自治会で霊能者にお祓いを依頼することとなった。
お祓いの席で、
K氏姉妹は最前列に座らせられた。
K氏は妹が暴れ出したりしないかと、
常に注意を払っていた。
お祓いは滞りなく、終わった。
だが、お祓いの後、
霊能者の口から衝撃的な事実を聞かされることとなる。
この時より40数年前のこと。
狂気に満ちたある男が隣町で、
日本刀を使用した連続殺人事件を起こしていたのだ。
犯人の男は女性ばかりを狙い、
近くの山に死体を遺棄していたそうだ。
その後、犯人は逮捕され、
死刑判決が下された。
だが、その男の生家は未だに残っているのだという。
その家を中心として火事が起こっていたのだった。
犯人の死刑が執行されても尚、
被害者達の怨みは消えず、
こういった事態を招いたと、霊能者は語った。
事件の概要を説明し終わった霊能者は、
K氏達家族に向かって、こう続けた。
霊能者『犯人が使用した日本刀というのは、○○家宅(K氏宅)から持ち出された物です。』
彼女の祖父には心当たりがあるらしく、
これを聞かされ、青ざめた表情をしていた。
続けて霊能者は、
霊能者『犯行に使われた日本刀の対を未だにお持ちですね?』
霊能者『非常に危険ですので、即刻手放しなさい。』
祖父はすぐに自宅へ例の日本刀を取りに帰り、
霊能者に託した。
日本刀を受け取った霊能者は、
最後にこう締め括った。
霊能者『あなた方姉妹は、これからも見る事になるでしょう。』
霊能者『でも、お姉さんは大丈夫。護りをオロシタから。』
霊能者『妹さんは少々心配ですが・・・』