これはH氏とその友人G氏・Y氏の身に起こった恐怖体験談である。
ある日、彼ら三人が集まって談笑していた時のことである。
友人G氏というのは音楽活動をしていてる青年だ。
彼は先日、
とある音楽関係の先輩から「絶対演奏してはいけないという曲」の譜面を受け取ったのだという。
友人G氏はそういう類の話を全く信じないタイプの人間であった。
G氏『おい、この曲吹いてやろうか?』
H氏『よせやい、もしマズイことになったらどうすんだよ。』
Y氏『いいじゃねーか。おもしろそうだし、おいY、いっちょ吹いてくれよ!』
G氏は楽器を取り出し、H氏らの前でおもむろに吹き始めた・・・・
正直腕はかなりいい。
内心不安はあったが、感心しながら聞きいってしまっていた。
その曲というのは、なんだか人間が話しているのを音符にした、
という感じの曲だった。
H氏はG氏がかなり大変そうに吹いている姿を、
「何か起きないか」という期待と不安の入り混じった複雑な感情で聞いていた。
しかし案の定何も起こることはなく、5分強の時間が過ぎて演奏は終わった。
Y氏『なんだよぉ~。何も起こらなかったじゃないかー』
肩すかしを食いながらも、心のどこかで安堵した。
そのまま、その日は解散となった・・・
次の日の夕方、H氏の携帯電話が鳴った。
それはG氏からだった。
G氏『おいH、Yのこと聞いたか?』
H氏『Y?Yがどうしたの?』
G氏『いや、実はな。昼過ぎにあいつから俺のところに電話があってよ。』
H氏『ああ、それで?』 G氏『あいつ、今朝起きると前歯が引っこ抜かれてたんだってよ!』
G氏『でな、歯医者に行って診てもらったらさ、こう言われたそうだよ。』
『何か物凄い力で抜き出されている 』
この電話を受けてH氏は「次は自分の番かもしれない」と思ったという。