存在するはずのない記憶

存在するはずのない記憶

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これはC氏が実家で家族とアニメ映画を鑑賞していた時のことである。

それはアニメのシーンにおいて、昭和初期頃の古いお風呂が登場した時に起こった。

C氏「そういや、うちも昔はこんなお風呂だったよねぇ~」

家族全員が何故かきょとんとした顔をした。

C氏「ほら、まん丸い五右衛門風呂でさぁ。スノコみたいなの踏んで入るの、覚えてない?」

C氏の妹「兄ちゃん、どこでそんなお風呂入ったの?」

と不思議そうに聞き返すC氏の妹。

両親もまた似た様な表情でC氏を眺めている。

C氏の父親「何を言ってるんだお前は?」

C氏「いやいやいや。ほらオヤジ、この家昔はすげーボロ家だったじゃん。」

じれったくなったC氏はその辺にあったチラシの裏に間取りをスラスラと描いていく。

C氏「ここが凄い狭い廊下で、その先が土間になってて、土間のすぐ横が風呂場で・・・」

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C氏の父親「ちょっと待て!!」

C氏「?」

父親が描きかけの空白部分を指差して言った。

C氏の父親「ここには何があった?!」

C氏「えーと・・・井戸があって、ポンプが1日中稼働してた。」

C氏は井戸の印に丸を描いて、そこからパイプを家の外に向かって伸ばした。

C氏「なんか近所に住んでた鯉飼ってる人の家に売ってたとか・・・あれ?」

そう言うとC氏は奇妙な違和感を覚えた。

スラスラ描けるほどハッキリ覚えていた記憶が見取り図を描いていくうちに、ほろほろとあやふやになっていく・・・

C氏の父親「それ誰に聞いた?」

C氏「誰って、爺ちゃん・・・あっ!

祖父は自分が生まれる前に他界していたことに気づく。

C氏の父親「確かにうちは昔、五右衛門風呂だったし、井戸の水を近所に送ってた。だけどCが生まれた年に建て替えたんだぞ?」

C氏「え?あれ?」

C氏が古い平屋の見取り図を描き上下げた頃には、それは全く知らない家になっていたという。


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