とある小学生の女の子には密かなマイブームがあった。
それは人形作りだ。
とは言っても、折り紙に人の絵を描いて、
それをハサミで切り抜くという程度の簡素なものだった。
ある日、女の子は王子様とお姫様をそれぞれ3体ずつ、
計6体作った。
それがあまりにも素晴らしい出来だったものだから、
お気に入りの作品となった。
普段であれば、箱に入れてしまうのだが、
自身の掛け布団の上に綺麗に並べ、
ティッシュで人形用の布団まで作り、
一緒に寝ることにした。
翌朝、起きると人形達が見当たらない。
女の子『あれ~?ベットのしたにおっこちちゃったのかなぁ?』
女の子『いませんね~。みなさん、どこですか~?』
女のこ『いたら、へんじしてくださーい。』
探せど探せど、一向に見つからない。
ベットの毛布もマットレスも全て剥がして探したのだが、
結局、人形達は見つからなかった。
親に聞いても『知らない』の一点張り。
ましてや、子供部屋の物を黙ってどうこうする親でもない。
そもそも、昨日は女の子の部屋にも行っていないとのこと・・・
それから10年以上が経ち、
毎年大晦日に、部屋丸ごと大掃除をしているそうなのだが、
未だに人形達の消息は不明なのだという。