R氏の祖父は臨終の際にこう言った。
祖父『もう見えるぞ。もう見えるぞ。紙と筆を持って来い。』
どうやらR氏の祖父は霊感があったらしい。
祖父が他界した年、R氏は中学2年生だった。
祖母が遺品整理をしているのを手伝っていると、
古い写真がたくさん出てきた。
最初は面白がり、それらを眺めていたのだが、
そのうちの一つに気持ちの悪い写真があった。
それは30代頃の祖父が、
どこかの観光地で名所をバックにポーズをとっている白黒の写真だ。
よく見ると祖父の立ち位置が写真の中心からズレている。
一瞬見ただけでは普通の写真に思えるのだが、
何故か中心からズレていることに気付いた瞬間、気分が悪くなった。
まるで祖父の隣に誰かがもう一人立って居て、
故に中心からズレているように思えたのだ。
写真のことを恐る恐る祖母に尋ねてみたのだが、
この頃、祖母は認知症がひどくなってきていたため、
トンチンカンな返答しか返って来なかった。
業を煮やしたR氏は、
仕事から帰宅した父親に改めて例の写真について尋ねてみた。
R氏『とうちゃん、この写真』
父親『お前、これ・・・』
R氏『じいちゃんって、霊感が強かったのか?』
すると、父親は急に真面目な顔になってこう言った。
父親『この写真を撮ったのは、ばあちゃんだぞ・・・』