W氏の住まいは田舎なもので、
キノコが生えるシーズンになると、
よく自宅の裏山に採りに行くのが習慣だった。
彼が小学生の頃は、祖父と二人で裏山に登り、
キノコが豊富に採れる場所を教えてもらっていた。
しかし、中学生にもなると一人で登るようになり、
時には友達と登ることもあった。
そんなある日の日曜日。
友達と二人で裏山へキノコ採りに行くことになった。
祖父から教えられた場所や彼の経験上よく採れる場所などを回り、
順調に色々な種類のキノコを採った。
そうこうしているうちに太陽が西に傾き始め、
『そろそろ帰ろうかぁ』と下山している途中、
友達が突如叫んで、その場にしゃがみ込んだ!
木の枝で足を切って怪我でもしたのかと思い、
『大丈夫か!?』と言いながら、W氏は友達に近寄った。
しかし、友達の様子がおかしい。
友達はなぜか上の方向を見つめ、怯えている。
W氏もつられて友達の視線の先に目をやる。
W氏『うっ!!』
そこには首吊り死体が2体ぶら下がっていた。
あまりの驚きに声も出せない・・・
視線も外せないまま、その場に硬直してしまった。
しばらくそれを見ていると、死体の違和感に気づくW氏。
それは人間の死体ではなく、マネキンだったのだ。
W氏『おい、よく見てみろ。あれマネキンだ・・・』
友達『えっ!?・・・あ、ほんとだぁ』
W氏『ったく!イタズラにしてはタチが悪いだろ!』
そう言いながら、そそくさと下山した。
先程のことをW氏の父親に事情説明すると、
『そのままにしておくわけにもいかないな』ということになり、
脚立と手斧、枝切りハサミを持って、
3人でマネキンを片付けるため、再度裏山に登ることになった。
父親が脚立に上がり、W氏と友達は下でそれを支える。
父親は手際良くマネキンの首のロープを切って下に落とした。
そして、それを3人でW氏の家の納屋へと運ぶ。
しかし、そのままの状態で保管してあると誤解を受け兼ねないため、
極力バラバラに砕いてから廃棄しようということになった。
マネキンが着ていた粗末な服を剥いだ。
するとマネキンの腹部に赤ペンキで大きくこう書いてあった。
「このマネキンを下ろした人間は死ぬ」
それを見て、その場にいた全員は一瞬にして凍りついたのだという。